会社を辞めたとき、生活を支えてくれるのが「失業保険」(正式には雇用保険の基本手当、いわゆる失業手当)です。とはいえ「いくらもらえるのか」「いつから・どうやって受け取るのか」は意外とわかりにくいものです。

この記事では、失業保険がいくらもらえるかを計算式と手取り別の早見表で整理し、もらい方の流れまで解説します。自己都合と会社都合の違いや、2025年4月から短縮された給付制限、受給中のアルバイトのルールもまとめます。

📌 この記事でわかること

  • 失業保険の受給条件
  • いくらもらえるかの計算式(賃金日額 × 給付率 × 給付日数)
  • 手取り別の早見表と所定給付日数
  • 自己都合と会社都合の違い・給付制限の1か月化
  • もらい方の流れ・必要書類・受給中のバイトのルール

失業保険とは・受給条件

失業保険(基本手当)は、働く意思と能力があるのに仕事が見つからない人に、再就職までの生活を支えるために支給される雇用保険の給付です。受け取るには、主に次の条件を満たす必要があります。

  • 被保険者期間:離職日以前の2年間に被保険者期間が通算12か月以上あること。
    • 倒産・解雇などの会社都合(特定受給資格者)や特定理由離職者は、1年間に6か月以上でOK。
  • 求職活動:働く意思と能力があり、ハローワークで求職の申し込みをして積極的に就職活動をしていること。

病気やケガですぐに働けない場合は、まず傷病手当などの別の制度が対象になります。

いくらもらえる?計算方法(賃金日額・給付率)

1日あたりの支給額を「基本手当日額」といい、次の2ステップで計算します。

① 賃金日額 = 離職前6か月の賃金合計(賞与は除く)÷ 180
② 基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(50〜80%)

給付率は賃金が低い人ほど高くなります(おおむね50〜80%、60〜64歳は45〜80%)。また、基本手当日額には年齢別の上限があります(毎年8月に改定。下表は目安)。

年齢基本手当日額の上限(目安)
30歳未満約7,255円
30〜45歳未満約8,055円
45〜60歳未満約8,870円
60〜65歳未満約7,623円

例:月収30万円(賞与除く)で30〜44歳の場合。賃金日額=30万×6÷180=10,000円。給付率を約50〜60%とすると基本手当日額は約5,000〜6,000円。1か月(28日分)でおよそ14〜17万円が目安です。

手取り別の早見表(目安)

退職前の手取りから、ざっくりした受給額の目安です(自己都合・90日受給の場合のイメージ)。

退職前の手取り基本手当日額の目安1か月(28日)の目安90日合計の目安
約15万円約4,000円約11.2万円約36万円
約20万円約5,000円約14万円約45万円
約25万円約6,000円約16.8万円約54万円

失業手当は非課税なので、所得税や社会保険料は引かれません。ただし退職後は健康保険(任意継続か国保)と国民年金の支払いが必要です。どちらが得かは任意継続と国民健康保険の記事で解説しています。退職後の家計全体は手取り計算ツールもあわせてどうぞ。

もらえる期間(所定給付日数)

受け取れる日数(所定給付日数)は、退職理由被保険者期間・年齢で決まります。

自己都合(一般の離職)

被保険者期間所定給付日数
10年未満90日
10年以上20年未満120日
20年以上150日

会社都合(特定受給資格者)は手厚く、年齢と被保険者期間に応じて90〜330日まで支給されます。

自己都合と会社都合の違い・給付制限(1か月に短縮)

退職理由によって、受け取り始めるまでの期間が変わります。

  • 共通の待期7日:手続き後、まず7日間は誰でも支給されません。
  • 会社都合:待期7日のあと、すぐに支給が始まります。給付日数も多めです。
  • 自己都合:待期7日に加えて「給付制限」があります。これが2025年4月から原則1か月に短縮されました(従来は3か月)。ただし、5年間に3回以上の自己都合離職の場合は3か月のままです。

つまり、自己都合でも以前より早く(待期7日+約1か月後から)受け取れるようになりました。

もらい方の流れと必要書類

失業保険を受け取るまでの流れは次のとおりです。

離職票を受け取る

退職後、会社から離職票1・2が届きます。

ハローワークで求職申込

住所地のハローワークで求職の申し込みをし、離職票を提出します。

待期7日

受給資格決定後、7日間の待期。

(自己都合は給付制限)

原則1か月。

雇用保険説明会に参加

受給のしくみや認定日の説明を受けます。

失業認定日

4週間ごとにハローワークへ行き、求職活動の状況を報告します。

振込

認定後、指定口座に基本手当が振り込まれます。

主な必要書類は、離職票1・2、マイナンバー確認書類、本人確認書類、写真、本人名義の通帳です。

給付日数を多く残して早めに再就職すると、残った日数に応じて「再就職手当」を受け取れます。早期の再就職は損ではありません。

受給中のアルバイトのルール

受給中でも、一定の範囲ならアルバイトは可能です。ただし、ルールを守らないと不正受給になります。

  • 週20時間未満であること(週20時間以上や31日以上の雇用見込みは「就職」とみなされます)。
  • 働いた日は、失業認定のときに必ず申告すること。申告した日の手当は調整され、支給日数は先送りになります(消えません)。

無申告で働くと不正受給となり、受給額の返還や追加の納付を求められます。働いたら必ず正直に申告しましょう。

よくある質問

自己都合だとすぐにはもらえないのですか?

待期7日に加えて給付制限がありますが、2025年4月から原則1か月に短縮されました。以前より早く受け取れます。

一度もらうと、次にもらえるのはいつですか?

受給すると被保険者期間はリセットされます。次に受け取るには、改めて受給要件(原則として被保険者期間12か月)を満たす必要があります。

失業手当に税金はかかりますか?

失業手当は非課税です。所得税・住民税はかかりません。ただし退職後の健康保険料・国民年金は別途必要です。

手取り20万円だといくらもらえますか?

賃金日額はおよそ6,600〜6,700円で、基本手当日額は約5,000円が目安です。1か月(28日分)でおよそ14万円、90日で約45万円程度になります(年齢・給付率で変動します)。